今日はこれ聴いた。

聴いた音楽について書くブログ。

ヒトリエ『REAMP』

REAMP

 

2021年2月リリースのフルアルバム。

コンポーザーでありボーカルであったwowakaさんの逝去について一切触れずに本作を語ることは難しいし、3人がヒトリエというバンドを動かし続けることを選んだ以上、それはこのバンドにおいて常について回る話題なのだろうと思います。そして残された3人ができることは、「今のヒトリエはこんな音楽をやってる」とwowakaさんや彼の曲が好きな人に胸を張れるモノを作ることなのだろうとも。

まあ、スーパープレイヤーが揃ったバンドであることを思い出せば、そのあたりの心配は全くの無用だったわけですが。

開幕の「curved edge」から3人の異質なプレイが飛び出してきて「ああもう最高だな」とニヤニヤしてしまう。打ち込みのごとき細かいリズムを人力で再現するドラムも、もはや何が起きてるのか分からないベースも、警笛のようなギターのフレーズも、格好良すぎる。「これが『ヒトリエ』であるかどうか」の判断よりも先に音に撃ち抜かれて、「これが今の『ヒトリエ』なんだ」とやや遅れて認識する。一曲目からそんな風に掴まれてしまったら、あとは細かいことを考えずに10曲おおよそ40分の音楽を爆音で聴く以外有り得なくなってしまう。

などと少し前のめりに書いてしまいましたが、それくらい一曲目の「curved edge」のインパクトが大きく、アルバムにおける重要な要素であるように思います。本作を分解するならば「ビートの多彩さ」「鳴っている音の格好良さ」「耳に残るメロディ」という要素になると思うのですが、それらをこの曲がまさに象徴しています。あとは個人の感覚的な感想ですが特にベースの音がいい感じに“電気的”でハマります。ビリビリきます。

あとはぜひ注目したいのが中盤におかれた「tat」「うつつ」の繊細さ。シノダさんの歌声ともマッチしていて心地良く、wowakaさんの作る曲とはまた違った魅力があります。本作は緩急の「緩」にあたる部分に特徴的な曲が多くて、それが「アルバムを通して聴きたい」と思わせてくれる。

 

歌詞においては、wowakaさん急逝後初めてのアルバムという状況から、喪失について歌ったモノが多くなっています。ですが歌っている内容以上に、ボキャブラリーや世界観の違いに、つまり言葉の手触りが違うという生々しさこそに変化を感じてしまうのはバンド史を少なからず知っているからなのでしょう。

と、ここまでwowakaさんありきでの感想を記してきましたが、実は個人的には今回のアルバムをヒトリエ史上一番夢中になって聴いています。ビートがすごく気持ちいいので……

文脈を知らずにこのアルバムから聴いたらどう感じていただろうか、と考えることもありますが、きっと今とさほど変わらずに楽しめていただろうと思います。知っている以上は物語抜きに語ることはできないけれど、そういうモノを忘れて聴いても素晴らしいアルバムです。

 

REAMP

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