名刺代わりの③ヒトリエ『PHARMACY』
前回前々回と自分にとって懐かしい話をたくさんしたのですが、昔のことって自分の中でもそれなりに「こういうことだったのか」と評価しやすいことなので、語りやすい事柄だな〜と書きながら感じていました(『LITTLE BUSTERS』についても、過去と比べて今、という話でしたし)。なので今回は最新の自分がハマってるアルバムを取り上げて文章を書こうと思います。2022年リリースでたぶん一番聴いてるアルバムです。
③ヒトリエ『PHARMACY』
ここまでの更新で自分が如何に日本の一部のロックバンドしか聴かないかがよく分かってきたかと思います。自分も見つめ直しながら趣味の狭さを感じています。海外のバンドもかっこいい〜って思うことあるんですけど、結局言葉がよく分からないのでハマらない。日本語で歌ってることが自分にとっては結構大事なんだな〜とよく思います。
ほんならどんな歌詞が好きなんだ〜という話になりまして、これはいろんなパターンが好きなので一概には言えないんですが、傾向として「分かりやすくした言葉で興味ない事柄を説明してくれるもの」よりは「馴染みのある語彙で展開される説明のつかない表現」が好きです。「馴染みのある語彙」というのがわりとミソで、よく分からなければなんでもいいわけではない。そういうそれなりにめんどくさい好みに結構クリティカルを連発してくるのがシノダ氏の歌詞です。
バラバラんなっちゃう前に憂さ晴らし
ドン底にハマる寸前の
how? シュビドゥビドゥビダ
(ゲノゲノゲ)
それぞれの言葉の意味は分かるのになに言ってんのかわかんね〜〜〜〜〜けど語感はメロディにハマって気持ち良い。こういうわけのわからなさと、
透き通るよな思いだけが明日になるらしいね
そしたらきっと僕はもう君とは行けないのさ
(風、花)
みたいに普遍的な言葉で表された切なさが同居してるのがシノダ氏の歌詞で、このバランス感覚が好みにぶっ刺さりなんですよね。あと
愛想無い太陽の下
列なさないで歩こう
睨み効かし、高過ぎる空に
(Flight Simulator)
は疾走感のある曲調も相まってすごくアニメ的なヒロイックさがあります。この歌詞は分かりやすい方ですが、言葉が分かりさえすれば、意味が分からなくても想像や連想ができる、というのが日本語の歌詞が好きな理由です。
しかし色々語りつつ一番好きな歌詞は
悲しいこと辛いこと
すらも超えちゃう最悪の連続が
君を泣かせるでしょう でも
五月蝿い音には勝てないじゃんね
なんせ嫌われるくらいのことが
好きなんだからしょうがない
(ステレオジュブナイル)
に間違いないんですが。本当は全編載せたいんですが流石にそれはどうかと思いますので代わりに歌詞サイトのリンクを貼っておきます。
やっぱどこかでキッズなので心にはまだ「ステレオジュブナイル」みたいな曲でしか満たされない部分があります。こういうストレートなギターロックと、ギターのほぼ鳴らない「Neon Beauty」みたいな曲が自然と同じアルバムを構成しているのもシノダ氏の歌詞の二面性とリンクしていると言えるかもしれません。
というわけで今回は主に歌詞に着目した更新でした。音楽的にも自分にとっての「キャッチー」の感覚をぐんと押し広げるとても良いアルバムだと思っていますが、そのへんはまたいつか書けたら。