今日はこれ聴いた。

聴いた音楽について書くブログ。

2021年ベストアルバム9枚

 今更ですが2021年の年間ベストアルバムについて。

 

 2021年は、2020年から続くコロナ禍での生活を余儀なくされた一年でした。もはやコロナ禍以前の生活を思い出せなくなってきているような、正直自身の生活はそんなに変わっていないのでは?と思うような……。生活の変化で言えばコロナ云々以上に結婚して配偶者との生活が始まったことの方が二千倍くらい大きいです。

 音楽に関係する範囲で言えば、部屋の中で一日中何かしらの音楽を聴いている/流しているということはなくなりました。音楽を耳にする合計時間は減りましたが、アルバムを一枚流して間髪入れずにまた再生、とか、リピートし続けている、みたいな行為が減ったためか、CDアルバムを一枚の作品としてより捉えるようになった気がしないでもない。まあ、それは副次的なものであって、端的に「ここが変化した」と言えるのは「音楽を聴く時間が少し減った」くらいか。そう考えるとあんまり大きな変化ではないのかもしれません。減って困ったりも特にしてないし。

 でも細かなことがいろいろと変わって、ひとりで暮らしていたころともう全然違う、というのは間違いないわけです(2020年との変化に限れば、起床時間と就寝時間がだいぶ変わり、Vtuberの動画をちっとも見なくなったのが一番大きいかもしれません)。

 そんな一年間に自分が聴いて、気に入ったアルバムを9枚選んでみました。10枚選ぼうとしたら、10枚目であれもこれもと悩んでしまったので、その前までの9枚で一区切りです。

 ほとんどはいつか自分で読み返したときに(こんなことを考えて聴いていたんだな/聴いて考えたんだな)と思えるようにしたいがための文章になります。最近は記録というものの大事さを身に染みて感じており、自分が聴いた音楽でもそれをやりたいな、というのが、年が明けてもう一か月も経つのにこの記事を書き始めた理由です。

 せっかくなので読んでくださった方も、なんかのタイミングで思い出して聴いてくれたら嬉しいなと思いつつ。

 

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9.THE KEBABS『セカンド』

セカンド

 THE KEBABSは2021年も精力的に活動していました。6か月間、毎月一度YouTubeで配信を行い(月刊THE KEBABS)、そこで曲を作ってリリースしたり、リスナーと交流を図ったり。コロナ禍でも音楽で楽しく遊べる方法はなんだろうか、というのを本気で楽しく考えていた人たちだと思います。自分のその配信がある日は早く帰ろうとしてみたり、おかげで生活に一つメリハリができていたように思い返してみると感じます。

 本アルバムはその月刊THE KEBABSで作成された曲やすでにライブで披露されていた楽曲を収録。全10曲でだいたい30分のコンパクトさで、バカバカしさと紙一重のユーモアが楽しいアルバムです。そんな中、綴られた歌詞にコロナ禍での生活を思い出さずにはいられないロックバラード「ラビュラ」がすごく良いです。

 

8.XIIX『USELESS』

USELESS 通常盤[CD]

『斎藤宏介は歌がうまい』。本アルバムはもう、この一言に尽きるなと思います。

 前提として、自分はUNISON SQUARE GARDENが好きなんですが、特に田淵智也さんに対しては頭一つ抜けて並々ならぬ想いを抱いています。そのため、斎藤宏介さんの新しい活動であるXIIXにも、THE KEBABSと比べると相対的に控えめな距離を取っていました。事実、XIIXの1stアルバムである『White White』はそんなに聴いてない。たぶんあのアルバムがどういうものか、聴きながらきちんと把握できなかったことも理由の一つだと思います。比較すると今回のアルバムは「斎藤宏介の歌を聴かせる」ことに拘ったアルバムであるように感じたし、それに大成功してる。そう思うようになってからはすっかりリピート常連アルバムです。あとはリズムの面で気持ちいいものが多いのも繰り返し聴きたくなる理由かも。

 

7.ハロー、ハッピーワールド!『にこにこねくと!』

にこにこねくと! 【通常盤】

バンドリ! ガールズバンドパーティ!』に登場するバンドのアルバムです。このアルバムがリリースされるタイミングでAfteglow、Pastel*Palettesもフルアルバムをリリースすることになり、特典のAfterglowがカバーする「青い栞」欲しさに3枚合わせて購入したんですが、アルバムではこれが一番よかった。

 キャッチ―なメロディ、曲構成やリズムに、どこかUNISON SQUARE GARDENっぽさがあって、アルバムを通して聴いても飽きない、というのがそう感じる理由です。歌の面では、メインボーカルの拙さがあんまり好きになれなかったりするんですが、それでも聴けるのが逆にすごいというか。聴いていて楽しい気持ちになります。かと思ったら「スマイルブーケで た~まや~!」の曲終わりの切なさにびっくりする。いきなり祭りの終わりや花火が消えていく余韻の空気感を演出されたようで、いい意味でめちゃくちゃ動揺した。

 バンドリ!というコンテンツの性質から、各ユニットごとに「だいたいこんな音楽性」というものがあるんですが、このアルバムはハロー、ハッピーワールド!が音楽に限らずキャラ・エピソードとして「なんでもあり」なユニットだからこそ生まれた作品なのだと思います。

 でも「わちゃ・もちゃ・ぺったん行進曲」が収録されなかったのは悲しいです。

わちゃ・もちゃ・ぺったん行進曲 - song by ハロー、ハッピーワールド! | Spotify

 

6.cinema staff『海底より愛をこめて』

海底より愛をこめて

 新曲を作っていたとはいえ、全然アルバムをリリースしないので正直そろそろ解散するんじゃないかと冷や冷やしていました。そんな風にだいぶ待ったうえでの新しいアルバムリリースでしたが、待った甲斐があった……!と「海底」を聴いたときに思いました。オルタナという言葉について、「説明はできないけれどだいたいこういうやつ」という感覚が自分の中にあって、この曲のイントロのギターの音がまさにそれなんですよね。そんな一曲から始まるアルバムは、全体がしっかりばっちりギターロックでかっこいい。

「かっこいい」以外にあんまり言うことがないな。

 

5.GRAPEVINE『新しい果実』

新しい果実

 GRAPEVINEは自分にとって「わからん」バンドです。でも、わからんままでも気持ちいい/かっこいいと感じる不思議。自分でもここが好きとうまく説明できないんですが、曲の佇まいや田中和将さんの歌の飄々として超然とした感じは、自分の知る限りではGRAPEVINEの曲でしか味わえない感覚で、だから「わからん」と言いながらも聴き続けています。あ、でも音楽をバンドで鳴らすことには強いこだわりがありそうですよね。

 ロックバンドのドラムはモタッとしていて、場合によってはそれがダサく聴こえるなぁとここ最近は思うんですが、最近のGRAPEVINEはこのモタッとしたニュアンスを残しながらも決してダサくはならないのが素敵なところだと個人的に感じており、このアルバムでもそのあたりがとても良かったです。

 

4.Base Ball Bear『DIARY KEY』

DIARY KEY [Deluxe Edition ~初回限定盤~] [2CD + DVD]

 2020年の『C3』に引き続き今回もすごくよかった。スリーピースバンドとして完全に板についた感じがしますね。一聴すると普通な印象もあるんですが、すごく「高水準な普通」なんだなと、繰り返し聴いてしまううちに思いました。個人的にすごいなと思うのがドラムで、難しいことをやってる風には聴こえないのに、たまにやけに耳に残るリズムを差し込んできてはまた曲の中に戻っていく。この駆け引きが絶妙で、これによって繰り返し「聴いてしまう」ような引力を曲を生んでいるように思います。

 小出さんの歌詞は僕の好みと微妙に外れる時があるのですが、「SYUUU」の<波がさらって さららって 足跡を消し去って>の「さららって」が絶妙だなと思いました。文字だけ読むと「さららと足跡を消し去る」という接続になってそりゃそうだという感じなんですが、曲の中で聴くと、「足跡を消し去って」ではなく、前にある「さらって」に無理やり接続しようと「ら」を一つねじ込んだ言葉に聴こえるんですよね……。こういった言葉の配置の仕方もつい繰り返し「聴いてしまう」要因なのでしょう。

 

3.橋本絵莉子『日記を燃やして』

日記を燃やして

「今日がインフィニティ」を試聴したときに「このアルバムは『買い』だ」と感じたことを覚えています。自分はチャットモンチーのどの曲が誰作曲みたいなことを全く知らずに聴いてきたので、チャットモンチーと比べてどうこう、ということはあまり言えないんですが。そういうものをいったん置いておいても、このアルバムは大人が肩の力を抜いて作ったような円熟味と余裕が感じられるものであるように感じます。この感覚はGRAPEVINEの『新しい果実』を聴いたときと少しだけ近いかもしれませんが、これはたぶん音数の少なさが影響しているのだと思います。加えて、そんな『新しい果実』よりも角の取れた丸さがある。こんな風にトータルの印象が大きく違うのはきっとボーカルの力によるもので、声というのも楽曲を彩る一つの要素なのだとしみじみ。それにしてもギターのユニゾンがなんか多く感じますが趣味なんでしょうか。良いですよね。

 

2.ヒトリエ『REAMP』

REAMP

 ヒトリエの特徴の一つは楽器隊のスーパープレイであると思います。本作でもそれは健在。「curved edge」とかどの楽器も一体なにがどうなってんだ状態。シノダさんのボーカルも様になっており、かつ歌詞の自暴自棄さすら感じられる世界観にハマっていて、最初からこの編成だったと言われても違和感がないほどにしっくりきています。

 また、三人が作曲したこともうまく作用しているのかもしれませんが、個人的にはミドルテンポの曲に聴きごたえを感じています。「dirty」「tat」「うつつ」あたりがかなり好き。そしてBPMが速い曲ばかりじゃないからこそ「ハイゲイン」の破壊力がとにかく映える。

 新曲もリリースされたばかりですが、もう完全に新章始まってますね。今後の活動にも期待大です。

ステレオジュブナイル - song by Hitorie | Spotify

 

1.日食なつこ『アンチ・フリーズ』

アンチ・フリーズ(通常盤)

 2021年の音楽において一番のトピックは日食なつこさんを聴くようになったことです。シーンとか関係ないです。少し低めの歌声も、確固たる意志を感じさせる歌詞も、ピアノをメインに彩られた曲も、どれもこれもすごく好き。日食なつこさんの綴る歌詞は強い信念を感じさせると同時に、こちらに近寄りすぎない距離感で〝そこに存在〟してくれるし、それを高らかに伸びやかに歌い上げる声もかっこよく、UNISON SQUARE GARDENに感じるものと同じものを感じて胸を打たれます。「ロック」というのも「オルタナ」同様に自分では言葉で説明できるものじゃないんですが、UNISON SQUARE GARDENや日食なつこを聴いて奮い立つ気持ちになるのは、これらを「ロック」だと感じているからなんじゃないかと思うわけです。

 

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 こうして文字に起こしてみると自分にとってUNISON SQUARE GARDENの存在が死ぬほどでかいことがよくわかります。もはや「UNISON SQUARE GARDENと比較してどんな音楽なのか」というのが自分にとっての尺度なのかもしれません。

 そう考えたときに、今回の真ん中あたりにわりといろんなタイプ(と言ってもバンドサウンドの域はでませんが)のアーティストが並んでいて、ここに自分にとって新鮮なものや、今の自分にフィットするものが来るのかな、と思ったり。最近はガチャガチャして速いバンドよりも、どこかに余裕が垣間見える音楽の方が好む傾向はあるかもしれません。

 そんなことを考えながら2020年は何を選んだかな~と思い出そうとするんですが、まあ全然覚えてない。どっか別のブログに書いた気がするんですが、書き散らかしすぎて分からない。記録を一か所にまとめるのってすごく大事だな、と思いました。

 なので、大したことを書かなくてもいいからとりあえずこのブログは続けようと思います。